症状はもちろん原因を見つけ改善
あなたがなぜ今のような状態になってしまったのか、知っていますか?
肩が痛かったら肩が悪い?腰が痛かったら腰が悪い?
痛いところだけが悪いやつ!と思っていませんか?
いいえ。
すべての肩こりや腰痛などの症状の原因はからだの『ゆがみ』によってはじまっていたんです。
どのように症状が出てくるのか、解説してきます。
①小さなゆがみ―運動系の歪みが生じてきます。たとえば右手と左手を片方ずつゆっくり上に上げた時、同じように上げているのに左手だけはきれいにまっすぐ上がらない状態。
②普通のゆがみ―感覚系の歪みが生じてきます。たとえば右手と左手を片方ずつゆっくり上に上げた時、同じように上げているのに左手だけ違和感や上げづらさを感じる状態。
③大きなゆがみ―機能系の歪みが生じてきます。たとえば右手と左手を片方ずつゆっくり上に上げた時、同じように上げているのに左手だけ痛みを感じる状態。
④器質異常―壊れてしまい、医者が病名をつける。たとえば右手と左手を片方ずつゆっくり上に上げた時、同じように上げているのに左手だけ上がらない、動かない状態。
このようにゆがみがひどくなるにつれて、からだが不健康になっていきます。ではなぜゆがんでしまうのでしょうか?
いつも腕や足をくんでいるから?
もちろんそれも原因のひとつですね。
でも…
実はそれだけではないんです。
人が健康に過ごすのに四つの営み(食・息・動・想)と環境のバランスがかかわっているんです。
操体の理念~四つの営みとは?~
操体では、四つの営み『食・息・動・想』プラス環境のバランスからみていきます。
食事と呼吸がからだを造る大切な要素になっています。それによってからだを動かしたり考えることができるのです。
そしてこの四つの営みは誰にも変わってもらうことができないことがわかると思います。
だから四つの営みはあなた自身で責任を持って管理しなくてはなりません。
ちょうど車のタイヤのようになっています、後輪が食事と呼吸で動力となって前輪が運動と思考で方向を司っているということです。どれか一つかがパンクしてしまうとうまく走れませんよね、だから四つのバランスが大切になります。
そして環境は道のようで思うように変えることはできません。うまく乗りこなすことが必要です。
初めての環境だと、慣れるまでは大変だけど慣れたら大したことがなくなりませんか。タイヤがしっかりしていればすぐに慣れるもの。
ではどのようにバランスを取ればいいのか、気になりますよね。
『食』食べること
今の日本ではその気になれば、季節も、国も土地も関係なく、どんな食べ物も手に入ってしまいますね。
おいしいものを食べられるのは幸せなことです。
でも、それをからだが喜んでいるか、はまた別の問題です。
少し生物学的な視点から見てみましょう。
それぞれの動物の「食性」と「歯」は進化の過程から密接に関係しています。
例えば犬。
犬は肉食です。犬を飼っている方は、自宅のわんこの歯を思い出してみてください。
かわいいわんこも肉を噛み切るための尖った鋭い歯を持っていますね。
では牛はどうでしょう。
なかなか牛を飼っている方は少ないとは思いますが、想像してみてください。
尖った鋭い歯を光らせた牛なんて見たことがあるでしょうか?
草を食べる牛は草をすり潰すのに適した臼歯と、草をかみ切るための前歯が発達しています。
さて、人はどうでしょう。
人の歯は全部で28本あります。
肉や魚を割いたり噛みくだくための尖った犬歯が4本。
野菜を噛み切るための前歯が8本。
穀物や果物をすりつぶすための歯である臼歯が16本。
ということは、犬歯:前歯:臼歯の割合が、1:2:4になります。肉魚、野菜、穀物・果物の割合もこれに従い食べることが、生物学上一番自然、ということになります。
そして、いろいろと手に入ってしまう今日でも、実は非常に大切なことになります。
そして行動範囲。
車や飛行機がない時代は食べ物は自分の家の近くでまかなっていました。
ですが今は季節や場所に関係なくたくさんのものが好きな時に食べられるようになりました。
今自分が住み、暮らしている場所と、土も違えば、本来育つ時期とも違う。
それが当たり前になってしまっていますが、かなり不自然な状態です。
本来、旬のもの、そして住んでいる場所の近くで取れたものが一番。
近くの直売所や道の駅なんか買えますね。あとは自家菜園もおすすめです。
さて、言っていることは分かった。
でも…そんなの実際は無理だよ!
と思ったあなた。ご安心ください。
操体では、60点とれればいい、という考え方も大切にしています。
絶対こうでなければいけない!とすべて強制されたらイヤになってしまいますよね。
無理だよ!と思ったあなた。
本当に無理ですか?
まずはできるところから、無理なくできる部分から少しだけ。
少しの違いが大きな違いにつながりますよ。
今のあなたのライフスタイルに取り入れられることから、まずははじめてみてください。
『息』呼吸をすること
呼吸を止めてください。…と言って我慢できるのはせいぜい30秒から1分。呼吸を完全に止めてしまったら当然生きていくことができません。
呼吸をすることで、からだに酸素を送り細胞を活性化しています。
自然にしている呼吸ですが、実は息の状態で自分の気持ち、精神状態をみることができちゃうんです。
では、思い出してみてください。
あなたは怒っています。なんでも良いですよ。昨日、最後のアイスを弟さんに食べられたことでも、旦那さんがいつも出したら出しっぱなし!ということでも、奥さんがいちいち細かい、ということでも(これは無苦庵夫妻での一例です)
…。
さて、その時あなたはゆっくりと穏やかな呼吸をしていたでしょうか?
今度はすごくリラックスしています。海でぷかぷか浮いているとき、好きな音楽を聴いているとき、…。
その時のあなたは、浅く速い呼吸をしているでしょうか?
息とは字のごとく、『自』分の『心』を表すかがみです。
しかし、普段自分の呼吸を気にして生活している方は少ないと思います。
怒っている時、悲しい時、落ち着かない時、あなたの呼吸に意識をおいてみて下さい。
呼吸が浅い、速いな、と感じたら、その呼吸を、ゆっく~りと穏やかにしてみましょう。
すると自然と、心も落ち着いてきましたね。
『動』身体運動のこと
なんとからだには使い方があります。
それってどこかで習いましたか?
野球のピッチャーであればピッチャーとしての使い方、
ダンサーであればダンサーとしての使い方は習ったかもしれません。
でも人間としての正しい使い方は誰も教えてくれません。
何が正しいかの正解は、習ってこなかったのだから分からなくて当然ですよね。
しかし、動物は自然に無理のない使い方をしているのです。
犬や猫は寝起きにくーっと気持ち良さそうにからだを伸ばしていますよね。自然にからだを調節しているのです。
人はどうでしょう。すがすがしい朝は伸びをすることがあっても、仕事で急いでいるような朝は、目覚めてすぐにバタバタと身支度を始めてしまうでしょう。
小さなこと、と思われるかもしれませんが、そんな色んな小さな使い方の間違いの積み重ねからからだの不調が生まれていくのです。
数秒でバランスを崩すことも、修正することも出来ます。チリも積もれば、大変ですね。
多くの人が、からだを壊してしまって初めて、少しは自分自身のからだについて考えるようになります。
しかし、状態によっては手遅れで、一生付き合わなければならなくなってしまう場合もあります。
小さなことからこつこつと、からだの声に耳をかたむけてあげれば、つらい思いをしませんね。
からだの使い方や向き合い方を知ることで、多くの不調や不快感を未然に防ぐことができるのです。
『想』精神活動のこと
では今から、考えるのをやめてみてください。
……。
きっと5秒もしないうちにぽっ、ぽっ、といろいろなことが浮かんでは消え、浮かんでは消えていきますね。
人は随時考えています。
思考は頭で行い、からだには関係ないと思われがちですが、実は考えはからだの中で起きているのです。
今までの経験を元に、外部刺激(五感)に反応することにより、思考が変化していきます。
外部刺激が少なくなっても、地球にいる以上何かしらの刺激は受け続けています。例えば、そこに立っているだけでも重力という刺激を受けています。
つまり、存在している以上、思考を止めることはできないのです。
たとえば肩が痛いと思っているとき、肩のことばかり考えていませんか?腰がつらいと思っているとき、腰のことばかり考えていませんか?それによって仕事が手につかない、集中できないなんてことも。
これがプラス思考かマイナス思考かによって、からだの中にある心はからだに影響をおよぼしていくのです。
まだイメージがわきませんか?
例えば、気分が沈んだ時は下を向いてからだが前屈みになり呼吸が浅くなり、首が前に出てしまうので、首が凝る、肩が凝る、頭痛がする、胸がせまばり呼吸が浅くなる、食欲が無くなる・・・
あれ?
そうです、ご紹介した四つの営みは繋がっているのです。
どこから崩れていくか、どこから立て直すか。
この4つのバランスを取ればいいのです。
『環境』生活の空間
今、暮している場所や働いている場所が今あなたが身をおいている環境です。
引っ越しや旅に出る、など身を置く環境を変えることは出来ますが、現代社会で暮らしている以上、長い時間、遠くに行ったり都会は嫌だ、と仕事を辞めて引越しをする、というのはなかなか難しくもありますよね。
生きていく環境は自然に近い状態がベストですが、現代ではかなり制限されてしまうのが現状です。
自分の部屋をリラックスできる状態に整えたりと、少しの工夫でも環境を整えることはとても大切です。
この考えに基づいて、食事の部分でもお伝えした、『トータルで60点』を目指す形に行っています。
満点を取るのはものすごく大変ですが、60点ならできそうですよね。
例えば100点をとろうとしたらどうなるでしょう。
ごはんは絶対に無農薬の直売所で生産者の顔を見ないと買いに行ってはいけない。左右のバランスが変わらないように1分ごとに交互にかばんを持ちかえなくてはいけない。今の自宅では家庭菜園ができないし、自然が多い場所の方がいいのならば仕事を辞めて、家族の反対も押し切って、山奥に住もう。
なんて、極端な例ですが、すべてを完璧にしなくてはいけないと思ったら、考えただけでイヤになります。
健康になるどころか、暮していけませんね。
大丈夫。60点がとれればよいのです。なるべく自分の住んでいるところに環境が近い土地のものを買ったり、ベランダでもできるものを少し育ててみたり、呼吸が乱れてきたな、と思ったらゆっく~りと呼吸をしてみたり。
からだは自然と治るように出来ています。でないとどんな病気も治らないし、風邪を引いたら最後、死んでしまいます。そんなふうには出来てないので安心です。
からだはささいなことでもサインを発して教えてくれています。
それに耳をかたむけることができるかどうか。
健康への第一歩はあなた次第ですぐにふみだせるのです。